読書の記録と雑談
九州特急「ソニックにちりん」殺人事件/西村京太郎
2008年07月01日 (火) | 編集 |
433472874X九州特急「ソニックにちりん」殺人事件 (光文社文庫)
西村 京太郎
光文社 1999-09

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政界進出を噂される、元総理大臣秘書・佐久間要。
その佐久間が謎の写真を残して失踪した。
写真には博多−大分を結ぶ「ソニックにちりん」が写っており、謎を追って十津川警部は九州へ。
そこで佐久間の過去が明らかになり、やがて政界の黒幕の存在が浮上してくる。


++++++++++

政界が舞台になってくると人間関係がややこしくなってきて、記憶力に自信のない私は苦労しちゃいます(^^;)

元総理大臣秘書で、総選挙に出馬予定の佐久間要。
選挙にスキャンダルはご法度ですが、佐久間には不倫で子供を作ったという過去がありました。
その過去を消してしまおうとするもの、利用しようとするもの、それぞれの思惑の元、静かに暮らしていた母娘に災難が降りかかります。
認知も援助も求めず、誰にも事実を喋ることなく暮らしてきた母娘にとっては政界の権力争いなんて全く関係ないのに・・・酷い話です。
政界が絡んでくると警察にも圧力がかかって十津川警部も思うように捜査が進められません。
つくずく政界って妙な世界なんだなーと思います。
というより、最近のニュースを見ていても、自分の保身しか考えないような人がいっぱいな気がしますけどね(--;)

それにしても今回の事件は何かしっくりこない結末でした。
結局はお金儲けの為に政界の人間を利用した奴らがいた・・・ってことだと思います。
ちょっと無理矢理繋げた感がありました(^^;)
残った印象は事件の過程より、政界って汚いな〜ってことぐらいかも。
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2008/07/01 22:44 | 西村京太郎 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
グラスホッパー/伊坂幸太郎
2008年06月26日 (木) | 編集 |
404384901Xグラスホッパー (角川文庫 い 59-1)
伊坂 幸太郎
角川書店 2007-06

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妻を殺した男に復讐をするために、非合法的な商売をしていると知りながら「フロイライン(令嬢)」にもぐりこんだ鈴木。
ところが鈴木の目の前で標的としていた男が車に轢かれてしまった。
どうやら「押し屋」と呼ばれる男の仕業らしい。
鈴木は正体を探るために押し屋の後を追う。

一方、それぞれの思惑を胸に、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの殺し屋・蝉も押し屋を追い始めた。


++++++++++

知り合いでもなければ目的もバラバラな3人の男が、一人の「押し屋」を追いかけるという物語。
最初は本当にバラバラなところからスタートした3人が徐々に近付いていく展開がとても面白かったです。

きっかけは、フロイラインという会社の社長・寺原の長男が「押し屋」に殺されたこと。
この会社は悪どい商売をしている会社で、人殺しなども平気でやります。
業界(殺し屋の間にも業界があるらしい)でも嫌われ者で、恨みを持っている人間はたくさんいました。
誰かが「押し屋」に殺しを依頼したということです。

「鈴木」は元教師ですが、寺原長男に妻を殺され、復讐の為に寺原に近付いていました。
けれど目の前で寺原が押し屋によって殺されてしまい、その正体を突き止めようと押し屋を追いかけます。

「鯨」は自殺専門の殺し屋。
妙な力があるのかわかりませんが、彼に睨まれるとみんな死ぬ気になってしまうらしいです。
けれど死に追いやった人間の幻覚に苦しめられてもいました。
この仕事から足を洗うために全てを清算しようとした鯨は、現在自分にかかわっている人を全て排除しようとします。
そうしていくうちに押し屋に繋がり、過去に押し屋にターゲットを横取りされた経験もあって、鯨は押し屋を殺して終わりにしようと、押し屋を追い始めました。

「蝉」はナイフ使いで、岩西という上司の指示で殺しをしていました。
が、岩西のいいなりになっている自分に疑問を持ち始め、そんな時に寺原長男が押し屋に殺された話を耳にします。
会社をあげて押し屋を探していると知り、自分が押し屋を殺すことで名をあげて岩西から自由になろうとした蝉も押し屋を追い始めました。

3人がそれぞれに押し屋を追い、接近していきます。
鈴木は押し屋と接触して確信を持っているのですが、確認できないまま殺し屋達の殺し合いに巻き込まれていきました。
鈴木以外みんな殺し屋という恐ろしい設定ですが(^^;)彼らがどうやって接点を持ち、誰が勝つのかという妙な好奇心が出てきてしまいます。
この話の設定の仕方はとても面白くて上手だなーと思いました。
私は押し屋さんがお気に入りだったんですが、結局は彼も殺し屋なんですよね。
彼なりの思想があったとしても。

他にも業界の様々な人たちが絶妙に関わってきました。
こんなトコに伏線があったのかーと、最後にびっくりしてみたり(笑)
でも、この物語の中にまっとうな世界の人はいなかったかもしれないと思います。
鈴木だって普通の人だけど、知ってて妙な薬物売りつける仕事してたわけだし・・・。
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2008/06/26 22:11 | 伊坂幸太郎 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
MOMENT/本多孝好
2008年06月17日 (火) | 編集 |
4087478599MOMENT (集英社文庫)
本多 孝好
集英社 2005-09

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病院で掃除のバイトをしている大学生の神田。
その病院では、死を間近にした患者の願い事をかなえてくれる仕事人がいるとの噂が流れていた。
末期患者の願いを聞き届けたことから、神田の元には患者達の最後の願いが寄せられるようになり、神田は密かに仕事人としてその願いをかなえる。
人は人生の終わりに何を想うのか・・・。


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死を目前にした患者の願いを叶えるという、ちょっと重そうな内容の本でしたが、主人公の神田が淡々としているせいか、あまり重いという印象は残りませんでした。
自分が間もなく死ぬだろうことを予期している患者達。
最後に一つだけ願いをかなえてくれる仕事人がいるという噂は、もう助からない患者にしか伝わらないといいます。
元々の噂は黒衣の仕事人。
けれど神田がある女性患者の願いを叶えたことから、いつしか仕事人は掃除夫に変わりました。
この神田君、最初に願いを叶えた女性に報酬を多く貰いすぎ、女性が死んでしまったのでそれを返済することも出来ないので、その報酬分を他の患者の願いを叶えることで埋め合わせしようとして仕事人を始めた律儀な青年です。
そのくせどこかドライで、やってくる死を当然のように見つめています。
確かに他人事ではあるのですがあまりに冷静。
なのに願いを叶える為にかなり必死に奔走します。
こういう彼の方が、もしかしたら周囲も不安にならずにいられるのかもしれません。
良くわかんないけど・・・好感を持てる青年です。

最後の方では元々の仕事人が姿を表します。
黒衣の仕事人が聞いてくれる最後の願い事。
黒衣の仕事人がやっていることは良いこととは思えないけれど、ホントにそう?と疑問を投げかけられたら悩むかもしれない・・・。

この頃には神田君は少し変わりました。
きっと良い変化なのだと思います。

『やがて死んでいく人間なんてどこにもいはしない。
そこにはただ、今を生きている人間がいるだけだ。』

これはとても心に残る一文でした。

私はどんなに考えてみても「死」というものが怖いです。
いつか必ず直面するものだとわかっていてもやっぱり怖くてたまらない。
だけどこの言葉を覚えていられたら良いな、と思います。

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2008/06/17 22:45 | その他(は行) | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
デュエット/田中雅美
2008年06月04日 (水) | 編集 |
4334742807デュエット (光文社文庫 た 7-31)
田中 雅美
光文社 2007-07

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高校1年生の璃々。
璃々の両親が管理するアパートに住む滝を、璃々は兄のように慕っていた。
その滝に里美という婚約者が出来る。
けれど一見天使のように優しく聡明な里美には、裏の顔があるらしい。
璃々は親友・有美と一緒に真相を探り始めた。


++++++++++

タイトルと表紙のイラストに釣られて読んだ本ですが、著者の田中雅美さんの名は全く知りませんでした。
この本を読んだ感じでは少しお子様向けのような印象を受けたのですが(コバルト文庫で多く作品を書いているとの紹介もあったし)検索してみると随分エロティックな作品も出てきて・・・いったいどんな作家さん?という疑問が今も消えずにいます(笑)
とりあえず、この作品はやっぱりちょっと低年齢向きなのかな〜と思います。
内容も文章の並びも。

璃々が兄と慕う滝に婚約者が現れ、その婚約者はとても感じの良い女性で璃々も大喜び。
けれどその印象とは違う顔を偶然垣間見てしまい、何か隠していることがあると感じた璃々は親友の有美と共に真相を探り始めます。
恋人に隠し事をしたり、疑いを持って悩んだり、と恋愛ならではのゴタゴタも一応出てきますが、全体を通して明るくて、登場人物達が皆驚くほど良い人なので、ああ小説だな〜と実感しちゃいました(笑)
ミステリーとはいえ、悪い人なんて一人もいなかったのではないかな。
これだけ良い人が揃うと・・・確かに理想ではあるけど・・・まあ、これもありか。
婚約者の里美に隠された謎をマイナスにイメージした私が一番悪い人間に思えます(^^;)
でも・・・結局この小説に出てくる事件に、里美は直接には何も関係してなかったのではないかという気もしました。
彼女の周囲がゴタゴタしていただけで、単に友達を心配してただけって気がするんだけど。
それでも個人的にはウルウルとした部分も多いです。
親子関係を描いた部分も含まれていて、そういうのに私はメチャメチャ弱いので。

読後に残った感想は、中学生の頃こんな感じの読んだな〜、ですね(笑)
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2008/06/04 23:25 | その他(た行) | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
みどりの月/角田光代
2008年06月02日 (月) | 編集 |
4087475832みどりの月 (集英社文庫)
角田 光代
集英社 2003-05

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恋人に誘われ、一緒に住むことにした南。
しかし恋人のマンションにはもう1組のカップルが同居していた。
なりゆきで始まった男女4人の共同生活。

他1編。


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角田さんの本は、タイトルがとても私好みで、いつもそれに惹かれて購入してしまいます。
多分今後もきっと読むと思うのですが、何となく、登場人物に共感出来る部分が少ないな〜という印象が今回この本で決定的になってしまいました(^^;)

この本には2編の物語が収録されています。
「みどりの月」と「かかとのしたの空」

「みどりの月」は、恋人のキタザワと同居を始めた南のお話。
新婚生活を夢見てキタザワと暮らし始めたのに、何とそこにはマリコとサトシというもう1組のカップルが同居していました。
同じ家に暮らしながらそれぞれが自由に暮らし、共同生活の中にルールのようなものは存在しません。
ゴミが散らかっていても片付けたい人が片付け、他人の物でも使いたければ使う。
そんな生活。
いつか二人で暮らせるのだろうと自らの理想の家を作ろうと奮闘する南ですが、現状に何の不満もないようなキタザワ。

「かかとのしたの空」は別れの予感を抱えた若い夫婦がアジア旅行に出かけるお話。
旦那はキヨハルさんだけど、奥さん視点で語られているので奥さんの名前・・・出てこなかった気がします。
行き先だけを決め、次の予定はその場で決めるという自由気ままなアジア旅行。
リッチなホテルではなく格安の、その土地の住民達の間に紛れたような旅行です。
予定も目的も曖昧、いつ帰るという計画もなし。
私には絶対無理な旅行(笑)
でもアジアの風景の描写はとても綺麗だったし、その土地の人々に暮らしが丁寧に描かれていたのは楽しかったです。

この2編のお話の登場人物達がとてもよく似ていたような気がします。
キタザワとキヨハル、南とキヨハルの奥さん。
そしてマリコと、キヨハル夫婦が旅先で付きまとわれる謎の女。
だらしなくて自由で、相手のことなどおかまいなしな女です。

登場人物達は、良く言えばみんな自由です。
日常のしがらみみたいなものから逃れようと悩みながら、何かを探してる感じです。
だけどどうしても私には共感出来るものがみつからないんですよね。
この登場人物の中の誰一人、仲良くしたいと思える人がいない(笑)
こんな風に生きたいとも思わない。
ただ、こういう方向に行く人もいるだろうな、というのは何となく感じます。
それが私の理想ではないというだけの話かもしれませんが。
こんな生活、現実には出来るわけがないというイラつきが私の中に確かにあった気もします。
ちょっと理屈っぽいお話に感じてしまい、だから何だったんだろう、という感想が残ってしまいました。
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2008/06/02 00:00 | 角田光代 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
十津川警部「友への挽歌」/西村京太郎
2008年05月22日 (木) | 編集 |
4167454173十津川警部「友への挽歌」 (文春文庫)
西村 京太郎
文藝春秋 1998-12

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深夜、十津川警部の自宅へ大学時代の友人・永田から電話がかかってきた。
しかしその電話の向こうで2発の銃声が聞こえ、電話は切られてしまう。
銃声はロシア製のトカレフのものだった。
旧友の安否を気遣う十津川は北海道、そしてフィリピンへと向かう。


++++++++++

今回の事件は十津川警部の友人達が大きく関わっていたので、彼等の友情という面で結構ホロリとくるものがありました。
大学を卒業してそれぞれの道に進み、それから何年も音信不通でも、友達というのは変わらないものなのかもしれませんね。

北海道から電話をかけてきた大学時代の友人・永田。
大至急十津川に来てもらいたいと話す電話の向こうで銃声が聞こえ、それっきり電話は切れてしまう。
十津川は心配したが東京での事件を抱えていて行かれない。
そこで、これも大学時代の友人で現在はカメラマンの早瀬が十津川の代わりに北海道に向かった。
ところが早瀬は早瀬で何か事件を探っていたらしく、ちっとも解決に向かいません。
そうこうしているうちにまた殺人事件が起き、それが北海道と繋がり、やがて永田とも繋がっていきました。
ホント、人によって人生は様々なんだな〜と思わせるような展開になっていきます。
学生時代は共に過ごした仲なのに・・・。

いつもながらつっこみどころも満載ですが(^^;)何となくサラサラと読めてしまう内容でした。
結局一番悪いやつがいたわけですよね。
それが誰だかわかっているのに手を出せないもどかしさはありました。
犯人を追う過程が詳細に書かれていたわりにはあっけなく逮捕されちゃった気はするけど、まあいつものことかも。
でも今回はあまり重要視されない殺人が多すぎた気もします。
この人誰だっけ?何で殺されたんだっけ?と思う人がチラホラ(^^;)
伏線ではあったのでしょうけど、いらなかった気もします。

ところで今回十津川警部はフィリピンまで行くわけですが、三上部長の存在がスルーだったのがちょっと寂しかったです(笑)
よく反対されなかったな〜と。
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2008/05/22 23:11 | 西村京太郎 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
地下街の雨/宮部みゆき
2008年05月16日 (金) | 編集 |
4087488640地下街の雨 (集英社文庫)
宮部 みゆき
集英社 1998-10

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同僚との挙式が直前で破談になり、会社を辞めた麻子は地下街の喫茶店でウエイトレスとして働き始めた。
そこで、ある女が麻子に近付いてくる。
自分と同じような惨めな境遇にある彼女だったが、彼女の本当の目的は・・・。

表題作他、全七編。


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宮部さんの文章はとても読みやすいと、あたらめて感じた1冊です。
内容は素敵でも何故かどこかに読みにくさを感じてしまう作品もたまにあるのですが、宮部さんに関しては内容も文章も流石だと思います。

「地下街の雨」

同僚に婚約を破棄され、会社を辞めざるをえなくなった麻子。
地下街の喫茶店で働き始めますが、心に受けた傷とあまりの環境の違いに暗鬱な日々を送っています。
そんな麻子の前に客として現れた曜子。
彼女も恋人に捨てられ職を失い・・・という環境にいました。
けれど麻子の前に元彼の友人である淳史が現れると、曜子は豹変しましす。
という、女性の怖さも、そして優しさも見せてくれるお話でした。
でも一番心に残ったのはこのタイトルの意味するところです。
ずっと地下街にいると地上が雨でも気付かない。
濡れた傘を持っている人を見てようやく地上は雨が降っているのだと知る。
それまでは自分の上に雨が降る筈などないと信じきっている。
・・・この感覚、わかるような気がします。
決して良いことではなと思うのですが、人間どこかで、自分だけは大丈夫って思っていますよね(^^;)
麻子には、ちゃんと傘を持って待っていてくれる人がいたので良かったです。

「さよなら、キリハラさん」

数多くの機械の音でごったがえしている現代の家庭。
5人家族の大杉家もそんな感じだったのですが、ある日、この家庭に「無音」の時間が存在するようになりました。
周りの音が消えるのではなく、耳が聞こえなくなる、という形で。
それはいつ起こるかわからないし、屋外に出れば普段と変わらずちゃんと聞こえるという不可解なものです。
この状況の原因らしいキリハラさん。
騒音が大きすぎて、このままでは地球が壊れてしまう、という言い分は何だかフィクションには思えませんでした。
地球環境悪化の原因に、もしかしたら騒音も含まれるのでは(^^;)?

家族というものを考えさせられるお話です。
最後はちょっと泣けました。
近すぎて、大事なものに気付けないことってあるんですよね。

その他のお話は、どれもカラーの違う不思議で怖いものが多かったです。
でもどれも惹き込まれてしまうんですよね。
現代社会の中のホラー、という感じです。
文明の中に潜む不思議もあれば、文明が生み出した不思議もあるのだと思いました。

解説は室井滋さんが書いておられました。
彼女は女優の目でこの本を読んだそうです。
自分が演じるなら・・・みたいな発想で役作りを楽しんだり、状況を設定したり、みたいな。
私は全く第三者の視点で読んでいたので、人それぞれの環境によっても全く見方が違うものだと思いました。
この違いが結構面白いと思ってしまったんですけどね(^^)

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2008/05/16 00:00 | 宮部みゆき | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
オロロ畑でつかまえて/荻原浩
2008年05月12日 (月) | 編集 |
4087473732オロロ畑でつかまえて (集英社文庫)
荻原 浩
集英社 2001-10

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人口わずか300人。
過疎化に悩む牛穴村の青年団が村おこしに立ち上がった。
彼らがプロデュースに雇ったのは倒産寸前の弱小会社・ユニバーサル広告社。
やぶれかぶれの「牛穴村新発売キャンペーン」が始まる。


++++++++++

過疎化が進む牛穴村。
特にこれといった名産品も特徴もない日本の秘境ともいえるこの村の活性化を図ろうと、青年というにはちょっと年齢の高い青年団が立ち上がります。
そのために彼らが雇ったユニバーサル広告社は、倒産寸前の弱小企業。
田舎の青年達と弱小企業がタッグを組んだ村おこしは、とんでもない企画で幕を開けました。
訛りの強い方言を話す根っからの田舎者青年団と、何とかして倒産を免れようと奮闘する東京の広告社。
無謀な計画でしたが、キャラクター達がそれぞれ個性的なので、次に誰が何をしでかすのかと思うと読むのも楽しかったです。
同時にそれぞれの人生も描かれていて、人間どこで何が起こるかわからないものだというのも感じました。

解説によるとユーモア小説の中に風刺の力もある小説だとか。
この風刺の部分が非常に興味深かったです。

例えば、牛穴村青年団のリーダー・慎一が、広告社に勤めている東京の大学時代の友人を頼って上京します。
慎一は彼を良い友人だと最後まで信じて疑いませんが、傍から見れば田舎者とバカにしていいように利用されただけの学生時代が一目瞭然でした。
今回も言いくるめられて追い返される結果になります。
「いい人だ」は「どうでもよい人、都合のよい人」、「そのうちいつか」は「永遠にこない日」
都会ではこれが当たり前とうのは本当ですよね。
ついでに、大仰な名前の会社ほど実はたいしたことないというのも何だか一理ありそう(^^;)
社長と社員2人アルバイト1人の会社でも“ユニバーサル”ですし。

珍しいニュースにはマスコミが群がり大騒ぎ。
このマスコミに民衆はいともあっさりとのせられます。
でも次のニュースが盛り上がればあっという間に忘れ去る。
カリスマ有名人にはすぐに影響されるし(^^;)
現代社会のお気軽な部分も満載でした。
それをユニバーサル広告社は上手く利用したわけですが。

ま、結果的にはオーライだったのではないでしょうか。
ドタバタしてましたけどね(笑)
彼らが本気で奮闘している姿は気持ちが良かったです。
本気ってのは大事だな〜。

昔から伝わるウツボカズラの花。
湖に住む幻の生物。
そして絶滅したはずの鳥。

日本の田舎には神秘がいっぱいです(笑)
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2008/05/12 23:57 | 荻原浩 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
暗黒童話/乙一
2008年05月02日 (金) | 編集 |
4087476952暗黒童話 (集英社文庫)
乙一
集英社 2004-05-20

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事故で記憶と左眼を失ってしまった菜深。
移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその眼球は元の持ち主の記憶を再生し始めた。
その記憶を頼りに眼球の持ち主が住んでいた町の訪ねると、そこには悪夢のような事件が待ち受けていた。


++++++++++

長編ホラー小説です。
私は小説を読む時、漠然とですが頭の中に情景を浮かべながら読みます。
特に登場人物がいる場所の風景とか想像するのは好きですね。
その中で人物も動くのですが何故か顔だけが形になりません(笑)
そんな感じで読んでいく私にとっては、この本は想像の限界を越える描写が所々にありました(^^;)
だって最初から信じられない光景が。
運悪く街中で誰かの傘がぶつかり眼を怪我してしまった、というのならわかります。
けれどそれで眼球が落ちて、眼球を落とした本人が自分でその眼球を必死で探してるってありえませんよ普通。
それも雑踏の中。
後から思えばここは物語の始まりであったと同時に伏線でもあったのかもしれません。

とにかくこの事故で菜深は眼球と記憶を失くしてしまいます。
記憶を失くすということはそれまでの人格や人生をも失くすということでした。
眼は移植手術で治すことが出来ましたが記憶はどうにもなりません。
自然に戻るのを待つしかないんです。

やがて移植された左眼が元の持ち主の記憶を再生して菜深に見せるようにまりました。
持ち主の男性の幼い頃からの記憶をランダムに見るうちに菜深は彼が事件に巻き込まれて命を落としたことに気付きました。
誘拐され監禁されている少女の存在を知り、彼女を助ける為に眼球の持ち主だった男性の住んでいた町に向かいます。
そこで出会った人々と過ごす日々は菜深にとって居心地の良いものでしたが、あたらな事件に巻き込まれることになりました。

この事件がとても猟奇的で信じられないようなものです。
かなり非現実的。
それも霊とかそういうものではなく、リアルでグロテスク(--;)
乙一さんのホラーにありがちな表現ではありますけど。
ただ、グロテスクで苦手だなーと思いつつも読めてしまい、そのうち慣れてきてしまうんですよ。
ある意味怖いですけどね、それって(^^;)
その理由は多分、そこに「痛み」というものが存在しないこと。
そして傷つけられた者達は「死」ではなく「生」を選択出来ているということ。
身体を傷つけられたまま監禁された被害者は一人ではありませんが、誰も犯人を恐れてはいないんですよね。
かえって好意的というか・・・変な感じです。
乙一さんの描くホラーにはもしかして恐怖という感情が少ない・・・?

菜深の記憶を失ったという側面のストーリーには感動的な部分が多く含まれますが、殺人事件の方は苦手な人も多いかも。
この犯人は不思議な力の持ち主なんです。
でも人間的に普通とは思えません。
そういう人に限って表面上は誰よりも普通だったりするんですよね。
今回も最後の最後まで犯人がわかりませんでした(私は、ですが)
いつも思うのですが、特殊な力を持った人達はその力をどうして良い方向に利用しないんだろう・・・。


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2008/05/02 00:00 | 乙一 | Comment (2) Trackback (0) | Top▲
最後の記憶/綾辻行人
2008年04月23日 (水) | 編集 |
404385501X最後の記憶 (角川文庫 あ 45-1)
綾辻 行人
角川書店 2007-06

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認知症になってしまった波多野森吾の母。
新しいものから少しずつ記憶が消えていき、母に残されたのは幼い頃に経験した「凄まじい恐怖の記憶」のみ。
死を目前にした母をなおも苦しめる「最後の記憶」の正体とは。
森吾は記憶の謎を探し始める。


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どのジャンルにも収まらない小説、という後書きの表現がぴったりの小説でした。
サスペンスでもありホラーでもありファンタジーでもありヒューマンでもあり。
特にファンタジー要素の含まれたシーンは小説の内容と妙にミスマッチな気がしたのですが、その不思議さがかえって印象に残りました。

でも正直、この小説の主人公である波多野森吾という人間が私は苦手です。
普通に接していればどこにでもいそうな好青年、なのかもしれませんが。

森吾の母は現在でいう認知症を患ってしまいます。
それも「蓑浦=レマート症候群」という特殊なもので、白髪になり、新しい記憶から徐々に失っていき、古い記憶、強烈な記憶が最後に残ります。
白い閃光、ショウリョウバッタの羽音、を極度に恐れる母。
母に残されたのは幼い頃殺されかけた恐怖の記憶のみ。

この病気は1/2の確立で遺伝し、早ければ二十代後半であらわれるということでした。
自分もこの病気になるかもしれないという恐怖が森吾の心を満たしていきます。
幼い日の母との記憶、現実に起こっている児童惨殺事件、それらが恐怖心を通じて繋がっていき、森吾の精神バランスを崩してしまいました。
母の恐怖の記憶が幻覚さえうんでしまいます(本当に幻覚だったかは微妙ですけど)

死の恐怖というのはきっと直面した人にしか本当にはわからないのかもしれません。
相当の恐怖でしょうね。
私なんか想像しただけでも怖いです。
健康診断にいっただけでも足が震えますもん。
だから森吾の恐怖も理解出来ないわけではありませんが、恐怖に苦しむ実の母のことよりも、まだ病気だと確定さえしていない自分の恐怖にしか意識のいかない森吾にちょっと違和感がありました。

そして友人の勧めでこの病気が遺伝性のものであるかどうか確かめる為に故郷に向かい、そこで母の記憶の真実にたどり着きます。
このへんかなりファンタジーでかなりホラー。
真実をつきとめた後の森吾の行動は、はっきりいって怖い・・・。

恐怖に怯え続ける母の姿を知りながら、何故その選択に少しも悩まないの?
例えそこが現実とはズレた世界でも、何でそんなに普通にその行動?

等々・・・頭で理屈は理解できるのだけど感情で納得できないものがたくさんでした。
普通もう少しそこに苦悩するだろ、って感じ。
結局この物語の中で森吾が苦悩したのは、自分のことでばかりだった気がします。
母の恐怖の記憶を消してあげられる方法はないかとか、少しくらい考えろよ、と言いたい。

ネタバレを避けたので読んでいない人には意味不明の感想です(^^;)

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2008/04/23 22:53 | その他(あ行) | Comment (0) Trackback (0) | Top▲