2008年05月02日 (金) | 編集 |
![]() | 暗黒童話 (集英社文庫) 乙一 集英社 2004-05-20 by G-Tools |
事故で記憶と左眼を失ってしまった菜深。
移植手術で死者の眼球の提供を受けたのだが、やがてその眼球は元の持ち主の記憶を再生し始めた。
その記憶を頼りに眼球の持ち主が住んでいた町の訪ねると、そこには悪夢のような事件が待ち受けていた。
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長編ホラー小説です。
私は小説を読む時、漠然とですが頭の中に情景を浮かべながら読みます。
特に登場人物がいる場所の風景とか想像するのは好きですね。
その中で人物も動くのですが何故か顔だけが形になりません(笑)
そんな感じで読んでいく私にとっては、この本は想像の限界を越える描写が所々にありました(^^;)
だって最初から信じられない光景が。
運悪く街中で誰かの傘がぶつかり眼を怪我してしまった、というのならわかります。
けれどそれで眼球が落ちて、眼球を落とした本人が自分でその眼球を必死で探してるってありえませんよ普通。
それも雑踏の中。
後から思えばここは物語の始まりであったと同時に伏線でもあったのかもしれません。
とにかくこの事故で菜深は眼球と記憶を失くしてしまいます。
記憶を失くすということはそれまでの人格や人生をも失くすということでした。
眼は移植手術で治すことが出来ましたが記憶はどうにもなりません。
自然に戻るのを待つしかないんです。
やがて移植された左眼が元の持ち主の記憶を再生して菜深に見せるようにまりました。
持ち主の男性の幼い頃からの記憶をランダムに見るうちに菜深は彼が事件に巻き込まれて命を落としたことに気付きました。
誘拐され監禁されている少女の存在を知り、彼女を助ける為に眼球の持ち主だった男性の住んでいた町に向かいます。
そこで出会った人々と過ごす日々は菜深にとって居心地の良いものでしたが、あたらな事件に巻き込まれることになりました。
この事件がとても猟奇的で信じられないようなものです。
かなり非現実的。
それも霊とかそういうものではなく、リアルでグロテスク(--;)
乙一さんのホラーにありがちな表現ではありますけど。
ただ、グロテスクで苦手だなーと思いつつも読めてしまい、そのうち慣れてきてしまうんですよ。
ある意味怖いですけどね、それって(^^;)
その理由は多分、そこに「痛み」というものが存在しないこと。
そして傷つけられた者達は「死」ではなく「生」を選択出来ているということ。
身体を傷つけられたまま監禁された被害者は一人ではありませんが、誰も犯人を恐れてはいないんですよね。
かえって好意的というか・・・変な感じです。
乙一さんの描くホラーにはもしかして恐怖という感情が少ない・・・?
菜深の記憶を失ったという側面のストーリーには感動的な部分が多く含まれますが、殺人事件の方は苦手な人も多いかも。
この犯人は不思議な力の持ち主なんです。
でも人間的に普通とは思えません。
そういう人に限って表面上は誰よりも普通だったりするんですよね。
今回も最後の最後まで犯人がわかりませんでした(私は、ですが)
いつも思うのですが、特殊な力を持った人達はその力をどうして良い方向に利用しないんだろう・・・。
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2008/05/02 00:00 | 乙一 | Comment (2) Trackback (0) | Top▲
2008/05/02 00:00 | 乙一 | Comment (2) Trackback (0) | Top▲
2008年04月15日 (火) | 編集 |
![]() | 失はれる物語 (角川文庫) 乙一 角川書店 2006-06 by G-Tools |
交通事故により全身不随の上、五感の全てを奪われた私は闇の中で目覚めた。
唯一残ったのは右腕の皮膚の感覚のみ。
ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て、日々の想いを演奏で伝えた。
表題作他7編。
++++++++++
タイトルが過去形ではなく現在進行形、あるいは未来形である理由が、読んでいて何となくわかりました。
短編集ですが、どの作品にも切なさが付きまといます。
それは決して不快な感情ではありませんが、大切な人を失う哀しみはやはり辛いものです。
表題作「失はれる物語」は突然の交通事故で全身不随になり、五感も失って病院で目を覚ます男性のお話です。
感覚が残っているのは右腕の皮膚の一部のみ。
けれど脳ははっきりしているので自分の状況は辛すぎるものになりました。
微かに動く指先で妻や医者に意思を伝えることしかできません。
妻は夫の腕を鍵盤に見立てて演奏をしながら日々の様子を語りました。
けれどそれに慣れるうちに妻の感情を読み取れるようになってしまいます。
寝たきりで心臓の寿命が来るのを待つしかない夫。
そんな夫に妻は毎日明るく話しかけ世話をしてくれましたが、それが数年に及べば心身ともに疲れてしまいます。
決して自分を見放さないだろう妻の為に、夫は全てを失う決心をしました。
愛する人の為にした決断。
自分に同じことが出来るかと言ったら多分絶対無理。
怖くて仕方ありません。
とても切ない物語でした。
一番最初に載っていた「Calling You」は、一番印象に残った一番好きな物語です。
ちょっと非現実設定ですが、こういう恋愛物語を久しぶりに読んだ気がしました。
最近多い軽めの恋愛ものってあまり得意ではないので(^^;)
あ、でもこの物語の主人公達は恋人という定義で結ばれる前だったかもしれません。
目の前にある死に震えながら、それでも相手を守る為に嘘をつき続け、運命を捻じ曲げようとする女の子。
自らの運命を知りながら逃げることを拒否し、彼女を守るために飛び込んでくる男の子。
ここまで相手を想いあう二人の運命を変えてあげたかった・・・と、思う。
こういう相手に出会えたことが羨ましいのですが、だからこそ失う悲しみの大きさを思うと切ないです。
私は「別れ」というのが怖いから(TT)
後書きの代わりに書き下ろされたという物語は、普通に小説なのにちゃんと後書きだと思えるのが不思議でした。
乙一さんの才能でしょうね。
言葉にするのはすごく難しいのですが、自分が創り出した人物から何かを教わって前に進んでいく、というイメージが残りました。
自分もこうなれたら・・・いいのかな(笑)?
それはちょっとまだよくわかりませんが。
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2008/04/15 23:59 | 乙一 | Comment (2) Trackback (0) | Top▲
2008/04/15 23:59 | 乙一 | Comment (2) Trackback (0) | Top▲
2006年12月16日 (土) | 編集 |
![]() | 夏と花火と私の死体 乙一 集英社 2000-05 by G-Tools |
九歳の夏休み、少女はあまりにあっけなく殺された。
その少女の死体を隠す為に幼い兄妹は必死に行動する。
大人達に見つからないように、死体が永遠に見つからないように。
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こういう視点で書かれた小説は初めて読んだので、最初は少し驚きました。
殺された少女の視点で物語を語るという発想がすごいです。
ただ、理不尽に殺されたくせに何でそんなにあっさりしてるんだよ、とは思いました。
もっと犯人を恨めよ・・・と私の方がそんなことを思ったくらいです(^^;)
夏休みにこの少女は殺されてしまいます。
殺した側の動機は・・・ありえそうな動機でした。
だからといって正しい殺人なんてありえないですけどね。
そして、その少女の死体を隠す為に、兄妹が奮闘するわけです。
この兄が私はものすごく怖い子供だと思いました。
残酷だとか凶暴だとかそういうのではなく、人間の心を持っていないのではないかと思える空虚な感じが怖かったです。
友人の死を悲しむ気持ちは全く持ち合わせず、ただ死体を隠すという普通ではありえない出来事を楽しんでいるようでした。
でも表面上は誰にでも好かれる良い子なんです。
現代だからこそ感じる恐怖なのかも・・・。
結末もやっぱり怖かったと思います。
ホラーとしての怖さではないですけどね。
でも、先がとても気になる作品で、さらっと読めてしまいました。
乙一さんのデビュー作だそうです。
乙一さんの作品を読んだのはこれで2冊目なのですが、時々すごくぞっとするような表現が出てくるんですね。
ホラー小説界の俊英と呼ばれている作家さんのようなので不思議はないのかもしれないけど、ちょっと気になる部分ではあります。
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2006/12/16 00:00 | 乙一 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
2006/12/16 00:00 | 乙一 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
2006年07月05日 (水) | 編集 |
![]() | 死にぞこないの青 乙一 幻冬舎 2001-10 by G-Tools |
飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは、それ以来大好きだった担任の羽田先生にいじめられるようになった。
常に欠点を指摘され、他の子の落ち度もマサオのせいにされてしまう。
やがてクラスメイト達も担任にならってマサオをいじめるようになった。
そんなある日、マサオの前に「死にぞこない」の男の子が現れる。
それは全身が真っ青で傷だらけの男の子だった。
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マサオはとにかく周りの目が気になる子でした。
自分が人と違うことや失敗することを恐れて、上手く気持ちが伝えられません。
いつも最悪のパターンを思い描いては逃げ道を探します。
自分から話しかけるのが苦手だったマサオは、それをしなかった為に結果的に嘘をついた形になってしまいました。
わざとではありません。
でも何か嫌なことが目の前にあると自分に都合の良いように解釈して結論づけることで、嫌なことから逃げてしまうんです。
そして、担任である羽田先生のターゲットとなりました。
他の子の失敗まで何故かマサオのせいになり、どんなに頑張って上手くやっても、今度はそれを鼻にかけて他の子を見下していると言われてしまいます。
クラスメイトは担任に同調していきました。
小学生にとって先生というのはかなり絶対的な存在です。
先生が間違っていることなんてありえないと思っています。
苛められているマサオさえそう思っているのですからどうしようもありません。
そういえば私も子供の頃はそうでした。
先生はすごく大人でとても偉く見えました。
今となってはただの人なんですけどね(笑)
子供にとってはそうじゃない・・・と思うんだけど、現代社会ではどうなのかなぁ。
私的には、マサオは模範的な少年ではありませんが嫌いな少年でもありませんでした。
誰にも言わずに一人で精神的苦痛に耐える毎日を送るマサオの前に、ある日不気味な姿の子供が現れます。
身体が真っ青で傷だらけのその子供は、マサオにしか見えません。
この子供をマサオは“アオ”と呼びます。
“アオ”は誰の中にもある存在なのかもしれません。
心の奥深くに眠っているかもしれないし、他の感情とバランスをとることで見えなくなっているだけかもしれません。
そう思うと怖いです。
“アオ”を認めても、“アオ”に支配されてはいけません。
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2006/07/05 00:00 | 乙一 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
2006/07/05 00:00 | 乙一 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
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