読書の記録と雑談
カラフル/森絵都
2008年07月07日 (月) | 編集 |
4167741016カラフル (文春文庫 も 20-1)
森 絵都
文藝春秋 2007-09-04

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生前の罪により輪廻のサイクルから外された僕の魂は、天使業界の抽選に当たり再挑戦のチャンスを得た。
自殺した少年・真の身体にホームステイしながら生前の罪を思い出さなくてはならないことに。
真として過ごすうちに、僕には色んな真実が見えてくるようになる。


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とても素敵なお話だったと思います。
生前に罪を犯した魂とか、自殺を図った少年とか、扱う内容はどこか重い感じなのに、最初から風変わりな天使が登場してきたのであまり暗くはなりませんでした。
僕の語り口調も結構面白いし。

罪を犯して死んだ為に転生を許されなくなっていた僕の魂が、天使業界の抽選に当たった為にもう一度チャンスを与えられる。
なんていきなりファンジックな始まりです。
あの世にもそんなイベントがあるなんて思わないよ〜(笑)
既に前世の記憶をなくしていた僕は特に再挑戦の意思はなかったけれど辞退は許されません。
天使のボスが決めた人間の身体に入り、その人間として過ごしながら前世の記憶を思い出す、という再挑戦をすることに。
何に再挑戦なのかが微妙ですが、人生の再挑戦かな・・・。
思い出せればまた転生することが可能だし、思い出せなければこのまま消滅してしまいます。
そして僕に与えられたのは小林真ととう、自殺した少年の身体とその家族でした。
真の魂が身体から出るのと入れ替わりに僕が入り込み、一定期間を真として過ごします。
けれど自殺を図ったからには真少年には苦悩があったわけで、僕はそれを引き継がなくてはなりません。
真の自殺の原因、そしてそれらの側面から見えてきた別の真実。
僕は真として過ごしながら、だんだんと色んなことに気付いていきました。

私は僕や真と同じ体験をしたことがあるわけではありません。
けれど彼らの心情が、何故かすごくしっくりと理解出来るような気がしました。
だから違和感が全くなかったんですね。
森さんの描く心情にはかなり共感出来る部分が多かったです。
生前の僕の罪は、何となく途中で想像がついてしまいました(当たってました)
でも最後までドキドキと読めたし、気持ちの良い読後感が残りました。

私はここに登場してくる天使の“プラプラ”がお気に入りです。
僕の再挑戦をガイドする役目の天使です。
天上にいる時はですます調の丁寧な言葉で喋り、白い衣に白い羽のいかにもな天使。
でも地上に降りると言葉使いも乱暴になり、何だか普通のサラリーマンみたいなんですもん。
トレンチコートに白いフリフリの日傘を差しているトコとか(配給品で本人の趣味ではないらしい)、実は優しくて意地っ張りなトコとか、何か可愛いんですよね〜。

で、後書きを阿川佐和子さんが書いてらっしゃいました。
この作品は映画化されていて、阿川さんは真のお母さん役だったそうです。
真役を誰がやっていたか伏せているので気になって調べてみたら、田中聖君でした。
もちろんKAT-TUNのね。
ちょっと驚きましたが、映画も見てみたいなぁ。
かなり昔の映画みたいですが(^^;)
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2008/07/07 23:29 | その他(ま行) | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
地下街の雨/宮部みゆき
2008年05月16日 (金) | 編集 |
4087488640地下街の雨 (集英社文庫)
宮部 みゆき
集英社 1998-10

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同僚との挙式が直前で破談になり、会社を辞めた麻子は地下街の喫茶店でウエイトレスとして働き始めた。
そこで、ある女が麻子に近付いてくる。
自分と同じような惨めな境遇にある彼女だったが、彼女の本当の目的は・・・。

表題作他、全七編。


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宮部さんの文章はとても読みやすいと、あたらめて感じた1冊です。
内容は素敵でも何故かどこかに読みにくさを感じてしまう作品もたまにあるのですが、宮部さんに関しては内容も文章も流石だと思います。

「地下街の雨」

同僚に婚約を破棄され、会社を辞めざるをえなくなった麻子。
地下街の喫茶店で働き始めますが、心に受けた傷とあまりの環境の違いに暗鬱な日々を送っています。
そんな麻子の前に客として現れた曜子。
彼女も恋人に捨てられ職を失い・・・という環境にいました。
けれど麻子の前に元彼の友人である淳史が現れると、曜子は豹変しましす。
という、女性の怖さも、そして優しさも見せてくれるお話でした。
でも一番心に残ったのはこのタイトルの意味するところです。
ずっと地下街にいると地上が雨でも気付かない。
濡れた傘を持っている人を見てようやく地上は雨が降っているのだと知る。
それまでは自分の上に雨が降る筈などないと信じきっている。
・・・この感覚、わかるような気がします。
決して良いことではなと思うのですが、人間どこかで、自分だけは大丈夫って思っていますよね(^^;)
麻子には、ちゃんと傘を持って待っていてくれる人がいたので良かったです。

「さよなら、キリハラさん」

数多くの機械の音でごったがえしている現代の家庭。
5人家族の大杉家もそんな感じだったのですが、ある日、この家庭に「無音」の時間が存在するようになりました。
周りの音が消えるのではなく、耳が聞こえなくなる、という形で。
それはいつ起こるかわからないし、屋外に出れば普段と変わらずちゃんと聞こえるという不可解なものです。
この状況の原因らしいキリハラさん。
騒音が大きすぎて、このままでは地球が壊れてしまう、という言い分は何だかフィクションには思えませんでした。
地球環境悪化の原因に、もしかしたら騒音も含まれるのでは(^^;)?

家族というものを考えさせられるお話です。
最後はちょっと泣けました。
近すぎて、大事なものに気付けないことってあるんですよね。

その他のお話は、どれもカラーの違う不思議で怖いものが多かったです。
でもどれも惹き込まれてしまうんですよね。
現代社会の中のホラー、という感じです。
文明の中に潜む不思議もあれば、文明が生み出した不思議もあるのだと思いました。

解説は室井滋さんが書いておられました。
彼女は女優の目でこの本を読んだそうです。
自分が演じるなら・・・みたいな発想で役作りを楽しんだり、状況を設定したり、みたいな。
私は全く第三者の視点で読んでいたので、人それぞれの環境によっても全く見方が違うものだと思いました。
この違いが結構面白いと思ってしまったんですけどね(^^)

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2008/05/16 00:00 | 宮部みゆき | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
となり町戦争/三崎亜記
2008年03月12日 (水) | 編集 |
408746105Xとなり町戦争 (集英社文庫)
三崎 亜記
集英社 2006-12

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ある日、となり町との戦争が始まった。
けれど銃声が聞こえるわけでもなく、普段と変わらない平和な日常が流れている。
それでも、町の広報誌に載る戦死者の数は確実に増えていった。
そんな戦争に現実感を抱けずにいた修路の元に、町役場から任命書が届く。


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小説には最後に解説文が付くものが多いですが、小難しい言葉ばかりをこれでもかってくらい並べられているのが個人的には少し苦手でした。
一応読みますけどね。
これどこの小説は解説文が欲しいと初めて思いました(^^;)

何だか凄く大事なメッセージを送られているような気はするんです。
けれどそれが何なのか、とうとうはっきり見つけられないまま読み終わってしまいました。

ある日、本当に当たり前のようにとなり町との戦争が告知されました。
けれど町は普段と何ら変わった様子はありません。
平和な日常が続いています。
それなのに広報に載せられる戦死者の数は日々確実に増えていきます。
姿の見えない戦争の正体が何なのか、ずっと気になりながら読んでいました。

間もなく、北原修路の元に町役場から任命書が届きます。
戦時特別偵察業務従事者、という役目です。
戦争の姿が全く見えないままこの役目を引き受ける修路。
けれど周囲の人間は当然のように戦争を進めていました。
これは私達が「戦争」というと思い浮かべるようなものとは違い、町の事業の一環として動いています。
それこそ、道路を作ったり、土地を開拓したりという公共事業と同じような感じです。
戦争による殺人の風景など全く描かれていないのに、「死」というものを確実に感じるようになってくるのが不思議でもあり、今思うと怖くもありました。

この小説で描かれている「戦争」って何だったんだろう、と考えてしまいます。
仕事だから、決まりだから、必要だから、で済ませてしまっていいのかな?
殺人は悪だと言っていても、自分が間接的に殺人に手を貸していないと言いきれるのか?
自覚があるかないかの違いだけで、誰もがどこかで罪を犯している。
そう言われればその可能性がないとは言えません。
でも・・・その意識にとらわれてしまうのは怖いことではないかな。

何だか支離滅裂な文章ですが、何かを探しながら読んだ小説でした。
結論がはっきりしないからこんな感想になってます。
時間をおいて再読してみれば、今見えなかったものが見えるのでしょうか・・・。
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2008/03/12 00:00 | その他(ま行) | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
かまいたち/宮部みゆき
2007年10月15日 (月) | 編集 |
410136916Xかまいたち (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社 1996-09

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江戸市中を騒がす正体不明の辻斬り「かまいたち」。
ある晩、町医者の娘おようは辻斬りの現場を目撃するが、死体が消えてしまった為誰もおようの話を信じてくれない。
やがて自ら証拠を探そうとするおようの家の前に越してきたのは、かまいたち本人だった。

表題作他全4編。

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宮部さんは好きな作家さんの一人です。
このブログを作る前に何冊か読んでいますがどれも面白かったですね。
でも時代小説を読んだのはこれが初めてでした。
時代背景は違っていても登場人物達がとてもリアルに動き回ってくれるので楽しめます。

「かまいたち」は辻斬りの現場を目撃してしまったおようのお話。
何人もの人物がおようの周りにいますが、おようが全く疑っていない人達が実はとても危険人物だったりします。
ちっともそれに気付かないおようにハラハラしました。
でも最後には、これに恋物語が続けば良いのに、と思ってしまいました(^^)
新吉さん、タイプだわ〜(笑)

「師走の客」は詐欺のお話。
人間どんなに誠実に生きていても、災難が来る時は来るんですね。
たまたまちょっと欲を出してしまったばかりに騙されてしまった老夫婦が気の毒でした。
でも最後に救いがあったので良かったですけど。

「迷い鳩」「騒ぐ刀」はある時から霊能力を持ってしまったお初のお話です。
岡っ引きの長兄・六蔵、庭師の次兄・直次と共に事件を解決していきます。
この本を手にとった理由はこの作品が目的でした。
実はこのお初を主人公とした物語は某雑誌に漫画で掲載されています。
もちろん宮部さんの原作で漫画化されたものです。
私はそちらを先に読んでしまいました(笑)
だから頭の中ではその漫画のキャラクターの姿のまま登場人物達が動き回っています。

いつの世にも霊的な事件というのはあるものなのでしょうか。
たまたま普通の人には見えないものが見え、聞こえない声が聞こえるようになってしまったがために、怖くても何でもお初はそれに立ち向かっていかなくてはなりません。
怯えているだけではなくその力を世の為に生かそうとするお初は強くて優しい女性ですよね。
・・・私はそんな力欲しくはないけど(^^;)
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2007/10/15 00:00 | 宮部みゆき | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
夜の果てまで/盛田隆二
2006年09月12日 (火) | 編集 |
4043743017夜の果てまで
盛田 隆二
角川書店 2004-02

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コンビニでバイトをしていた俊介は、土曜の夜11過ぎにやってきてはチョコレートを一つ万引きしていく裕里子と知り合った。
一回りも年上で、夫も子供もいる裕里子と恋におち、二人の生活を始めるが・・・。

ただひたむきに互いの人生に向き合う二人を描いた感動の恋愛小説。



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上の紹介文の最後の1文は、本の裏の紹介文をあえてそのまま抜粋したのですが、実は私は感動しませんでした(^^;)
というより、何だこれ、だったんですよねー。

俊介と裕里子は不倫の関係になるわけですが、それについてどうこうはありません。
褒められたことじゃありませんが、恋しちゃったものは仕方ないと思うし、何より小説だし(^^;)
でもこの恋はひたむきというより身勝手な気がしてしまいました。
自分が女なのでどうしても同姓に厳しくなってしまうのかもしれませんが、この裕里子という女が私は嫌いです。
美人ですれてなくて人当たりも良いのでモテます。
俊介と二人で駆け落ちした先々でも評判はとてもよくて、すべてを捨てて一緒にいる彼女を大切にしろと言われますが、旦那にバレて駆け落ちせざるを得なかっただけだろーが、と言いたい。
文句を言い出したら止まらないのでこのくらいでやめとこう(笑)

俊介も多少情けない気もするんですよ。
好青年ですが、人妻と駆け落ちなんてするには若すぎたのでは、って感じです。
何でこの青年がここまで人生を変えてしまうかな〜と残念でした。

恋愛なんて何がきっかけで始まるかなんてわからないし、きっと理屈でするものでもないのだと思います。
好きになっちゃったらダメだと言われてもとまらないよね。
でもここまで多くの人を傷つけて振り回して、本当に幸せになれるのかと思ってしまいます。

この小説の中で一番大人で、でも一番辛いのは裕里子の息子・正太(ちなみに前妻の子です)ではなかったかな・・・。
ちょっとグレてますが不良ではないし器の大きな中学生だと思います。
でも良く許せるなぁ・・・。
家庭環境複雑なんてもんじゃありませんから。

この小説で唯一好きだったのは、北海道の光景と俊介の姿が絵のようにに浮かぶ描写ですね。
特に好きだったのは、駆け落ちした東京から人と会うために北海道に戻り、部活をしている正太の姿をフェンス越しに黙って見ている俊介の姿。
その光景が頭の中に浮かび、切なさがこみ上げてきました。

個人的には、俊介には別の道を歩いて欲しかったなー。
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2006/09/12 23:14 | その他(ま行) | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
星々の舟/村山由佳
2006年08月26日 (土) | 編集 |
4167709015星々の舟
村山 由佳
文芸春秋 2006-01

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禁断の恋に悩む兄妹、不倫の恋をする末娘、自分の居場所を探す長男、なくしかけた友情に悩む長男の娘、そして戦争の傷痕を抱える父。
それぞれの人生を生きながら、星座のように見えない線で繋がっている家族の短編連作小説。

第129回直木賞受賞作。


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私が今まで読んできた村山さんの小説とは全く違った趣で驚きました。
高校生大学生といった世代を主人公にした小説はどれもキラキラと眩しくて、それがあまりに理想的すぎると感じ始めていたのですが、この作品はほとんどが30歳を越えた大人達を描いていました。
禁断の恋に不倫。
だからといってそれほどドロドロした印象は受けませんが、この方はこういう作品も書くのか、と思わずにはいられませんでした。

「家族」が中心になっていて、もちろんそこには家族愛があります。
でもこのお話は家族の中の個人、という感じでした。
同じ家で暮らしていてもそれぞれ違う時間を過ごしているわけで、家族の数だけ人生もあります。
家族だから言えないことも、言いたくないことも。
時に反発して、やがてバラバラになっていっても、家族であることだけは絶対に変わらないんだなぁ、という当たり前のことをあらためて感じた気がしました。

ここに出てくる家族が理想的であるかはわかりません。
そもそも何が理想的かもわからないし(^^;)
何が理想で何が幸せかは、きっと本人が決めるものなのでしょうね。

・・・自分だけの足で立つことが出来てこそ、人は本当の意味で誰かと関わることが出来るのではないか・・・。
・・・幸福とは呼べない幸せもあるのかもしれない・・・

村山さんのあとがきにあったこの文章がとても印象に残りました。

しかし〜(^^;)未だ独身の私としては、多少結婚に対しての期待が減ったな(笑)
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2006/08/26 00:00 | 村山由佳 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
天使の卵−エンジェルス・エッグ/村山由佳
2006年07月28日 (金) | 編集 |
4087484920天使の卵―エンジェルス・エッグ
村山 由佳
集英社 1996-06

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19歳の予備校生・歩太は、ある日駅で出会った春妃に一目惚れする。
春妃は8歳年上で、父親の入院先の医師で、ガールフレンド・夏姫の姉だった。
それでも気持ちは止められない。
春妃を守れる男になるために努力を重ねる歩太だが・・・。


++++++++++

村山由佳さんのデビュー作で、「小説すばる」新人賞受賞作品だそうです。
彼女ならではの、爽やかな純愛小説でした。

予備校に通いながら美大を目指す歩太が一目惚れしたのは自分より大人の女性。
そんな彼女にふさわしい人間になろうと歩太は努力し、ついに春妃の心を手にいれます。
ホントに普通にありそうな恋愛が素直に書かれていました。
もちろん恋愛なので何もかもがトントン拍子にいくはずもありませんが、それでもやっぱり印象はキラキラな感じでした。

でも、すーっと読めて嫌味がない代わりに、強烈な印象も少ないかもしれません(^^;)
気持ちは良いのですが、登場人物達がみんな理想的なんですよね。
本来こうあるべきだと思う反面、人間臭さが少ないとも思います。
ラストはもう少し感情移入出来そうな場面だったんだけどなぁ。
何か淡々と読んでしまいました。

人間どんなに悲しいことがあっても、生きていかなくてはならない。

そんなラストシーンが、1枚の絵のように余韻として浮かびます。
色のないデッサンのような・・・。
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2006/07/28 00:00 | 村山由佳 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
夜明けまで1マイル−somebody loves you/村山由佳
2006年06月30日 (金) | 編集 |
4087477746夜明けまで1マイル―Somebody loves you
村山 由佳
集英社 2005-01

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大学生の涯は、憧れていた先生と深い仲になってしまった。
マリコさんは大学の講師で旦那さんがいる。
いわゆる「不倫」の関係。
涯はマリコさんに真剣に恋していたけれど、マリコさんの本意がわからず悩む毎日。

そんなマリコさんとの関係を、幼馴染で同じバンドメンバーでもあるうさぎに知られてしまう。
うさぎは恋愛が下手でいつも失恋ばかりしていた。
マリコさんに恋しながらも傷つくうさぎが気になってしまう涯。

恋や将来に悩む若者達の青春の物語。


++++++++++

村山由佳さんの描く若者達の物語はとても爽やかな印象を受けます。
明るい光がとてもよく似合うイメージ。
それも季節は夏。

でもこの物語の季節は夏ではありません。
登場人物達はコートを着てた気がするから(笑)
おまけに主人公の涯は不倫の恋をしています。
それでもやっぱり爽やかな印象は消えません。
これは村山さんの表現の賜物かもしれません。

涯が恋するマリコさんは、大学講師で美人で理解もある、誰もが憧れるような女性です。
でも私はちょっとズルイ女だと思いました。
結局全部自分の気持ちだけで動いていた気がします。
女なんでこんなものですかねぇ。
・・・少し心当たりが自分にもあるだけに非難しきれないですけど(^^;)

幼馴染のうさぎは、バンドのボーカルでボーイッシュな女の子。
恋愛が下手でいつもフラれてばかりいます。
女らしくないと言われ、何故そんな自分がいけないのか悩み、涯はそんなうさぎの相談相手というか愚痴の聞き役?みたいな役割。
子供の頃から傍にいるので最も近い相手の一人なんですね、お互いに。
彼女は読み進むうちにとっても可愛らしい女の子に見えてきました。
何度も泣いて、うさぎは前に踏み出していきます。

恋愛だけでなく、大人になっていく若者達の物語描かれていました。
涯とうさぎ、そしてうさぎの双子の兄・セイジと涯の同級生・直樹。
4人でメジャーを目指してバンド活動をしていましたが、チャンスは皆に平等に訪れませんでした。
そこで立ち止まったら前に進めない、でも進む為には決断をしなければならない。
そうやって大人になていくのでしょうけど、やっぱり切ないですよね。
願いや望みだけでは生きていけない社会の厳しさを感じてしまいます。

ところで・・・

ずっと船で旅していた旅人が、岸を見るとほっとします。
旅人にとって岸辺は安心できる場所かもしれません。
でも、岸辺となった人間は、どこで安心するんでしょうね?
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2006/06/30 00:00 | 村山由佳 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲