読書の記録と雑談
間宮兄弟/江國香織
2008年07月31日 (木) | 編集 |
4094082182間宮兄弟 (小学館文庫 え 4-1)
江國 香織
小学館 2007-11-06

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酒造メーカーに勤める兄・明信と、学校職員の弟・徹信。
いい人だけど恋愛対象としてはありえないと女性達から評される間宮兄弟は、マイペースに二人暮らし。
そんな兄弟も恋愛をし、彼等に関わる女性達は兄弟に興味を持ち始める。
モテない男達の日常の物語。


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女性達からは「ありえない」と評価されてしまう、モテない間宮兄弟。
彼等の描写のどこをとってもスマートさはなく、もさっとした二人の男の姿しか浮かびません(笑)
でも彼等の良いところはモテない自分達を自覚してはいるけれど、それを必要以上に悲観してはいないところ。
真面目だし多趣味だし親孝行。
好きな女性が現れればアプローチをするくらいには行動力があります。
他人から見れば地味だと思うような生活も二人は凄くそれを楽しんでいるんですね。
周囲の目を気にせず自分のスタイルや考え方を持っていること。
それは意外と簡単ではないことです。
だから二人はきっとカッコイイと思うのだけど、外見とイメージがそう思わせてはくれないんだろうなぁ(^^;)

そんな彼等でも恋愛はするし女性達との繋がりもあります。
明信に紹介しようと徹信が連れてくる教員の依子。
二人が通うレンタルビデオショップのアルバイト店員の直美と妹の夕美。
明信の同僚の妻・沙織。

恋愛がらみで知り合うわけですが、なかなかそう上手くはいきません。
でも間宮兄弟を知るとその人柄に惹かれて誰もが好意を示すようになります。
人間外見で判断してはいけないということですね。

間宮兄弟は、きっと今も二人仲良く、好きなように一緒に暮らしているような気がします。
いつか彼等にも変化はくるのだろうけど、その時はきっとそれなりになるのでしょう。
誰にでもありえそうな日常生活。
平凡で時々個人的レベルでの大事件が起きて。
そういうのって悪くないかも、って思えるお話でした。

彼等のどちらかを恋人にしたい、と思うのではなく、彼等とお友達になりたいな、と思いました。
物語の中で間宮兄弟と知り合う女性達と同じ感情が私の中にもあるみたいです(笑)
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2008/07/31 00:00 | 江國香織 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
狐笛のかなた/上橋菜穂子
2008年07月25日 (金) | 編集 |
4101302715狐笛のかなた (新潮文庫)
上橋 菜穂子
新潮社 2006-11

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12歳の小夜は、人の心が聞こえる「聞き耳」の力を母から受け継いだ。
ある日の夕暮れ、小夜は犬に追われていた子狐を助ける。
狐はこの世と神の世との境にある世界に住む霊狐・野火。
主に命を握られ、主の使い魔として生きることしか許されない運命にあった。
そして、小夜と野火は隣国との争いに巻き込まれてゆく。


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この物語、本来は児童文学なんだそうです。
でも大人も十分楽しめるものでした。

時代背景が曖昧で、人間に化ける狐が出てくるこのお話は、最初から全くの異世界に連れて行ってくれます。
こういうお話を読んだのは久々でした。
それほど怖いイメージはありませんが、内容を説明しろと言われれば、呪者、闇、憎しみ、などの暗い単語をいくつも並べてしまいそうなお話です。
それを救っているのは、小夜と霊狐・野火の想いなのだと思います。
主の為に働くことしか許されず、その命を主に握られている野火。
主に逆らうことはそのまま死を意味します。
それでも、幼い頃に出会った小夜を見殺しにすることなどできず、最後まで小夜を守りました。
そして小夜も野火の為に迷うことない選択をします。
そこにあるのは真っ直ぐな愛情で、その一途な想いがとても切なく優しく描かれていました。
本当に相手を想う気持ちがあるのなら、形にとらわれることなく見守ってあげるのが、もしかしたら一番良いのかもしれませんね。

この物語を振り返ると、私の中に浮かぶのは野を駆ける狐の姿です。
とてもしなやかに世界を駆け、運命に立ち向かい受け入れる、強くて優しい小さな狐。
それは凛とした月の光にとてもよく似合う気がしました。
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2008/07/25 00:00 | その他(あ行) | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
ラッシュライフ/伊坂幸太郎
2008年07月16日 (水) | 編集 |
4101250227ラッシュライフ (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社 2005-04

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お金で買えないものはないと思っている画商と新進女性画家。
忍び込んだ家に盗品メモを残す泥棒。
新興宗教の教祖を慕う画家志望の男と、その新興宗教の指導役の男。
それぞれの配偶者を殺す計画をたてるカウンセラーの女性とサッカー選手。
40社連続不採用だった失業中の男。
彼らを繋ぐように存在するバラバラ死体と年老いた野良犬。
それぞれの人生がどこかで交錯し、その果てに待つのは・・・?


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読んでいて楽しいお話でしたが、いくつもの話が平行して語られていくので登場人物を記憶するのに必死でした。
群像劇というらしいですが、こういうのはちょっと構えてしまいますね(^^;)
誰と誰がどこで繋がっているのかは覚えていたいと思うから(それでもかなり忘れて後からページをひっくりかえすこと多々)

全く別々の人間の人生が、実は繋がっているというお話です。
それもほとんどが偶然のなせる業。
だから多分当事者達はこの偶然の連鎖を知らないのではないかなー。
簡単に言ってしまえば、世の中狭いね、って感じです(笑)
でもとにかく、それぞれの人生が連鎖を見せる過程がとても見事だと思いました。
仙台駅前に立つ展望台と、そこに貼られている「エッシャー展」のポスター。
それと野良の老犬、バラバラ殺人。
これらが登場人物達の共通項かもしれません。
だんだんとそれぞれを繋ぐ偶然が明らかになっていくので先が気になって仕方ありませんでした。
偶然もここまで繋がると必然かも。
当事者達にとっては良いのか悪いのかは様々だと思いますが・・・。

伊坂さんの作品を読むのはこれで3冊目です。
「重力ピエロ」「グラスホッパー」そして「ラッシュライフ」
どの作品にも犯罪者が存在するのですが、その誰もが凶悪ではないんですね。
で、誰も警察に捕まらないし裁かれない。
ちょっとだけ、それっていいのか?って気がします(^^;)
物語としてはとても面白いのでいっか〜。
そして伊坂さんの作品はリンクしていることも多いと後書きで知りました。
読んだ作品にもリンク部分があったようなのにまるで気付かなかったです。
例えばこの「ラッシュラフ」に出てくる泥棒さんは、「重力ピエロ」に出てきた探偵さんなんだそうで・・・続けて読まなきゃ気付かないよぉ。
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2008/07/16 23:03 | 伊坂幸太郎 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
カラフル/森絵都
2008年07月07日 (月) | 編集 |
4167741016カラフル (文春文庫 も 20-1)
森 絵都
文藝春秋 2007-09-04

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生前の罪により輪廻のサイクルから外された僕の魂は、天使業界の抽選に当たり再挑戦のチャンスを得た。
自殺した少年・真の身体にホームステイしながら生前の罪を思い出さなくてはならないことに。
真として過ごすうちに、僕には色んな真実が見えてくるようになる。


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とても素敵なお話だったと思います。
生前に罪を犯した魂とか、自殺を図った少年とか、扱う内容はどこか重い感じなのに、最初から風変わりな天使が登場してきたのであまり暗くはなりませんでした。
僕の語り口調も結構面白いし。

罪を犯して死んだ為に転生を許されなくなっていた僕の魂が、天使業界の抽選に当たった為にもう一度チャンスを与えられる。
なんていきなりファンジックな始まりです。
あの世にもそんなイベントがあるなんて思わないよ〜(笑)
既に前世の記憶をなくしていた僕は特に再挑戦の意思はなかったけれど辞退は許されません。
天使のボスが決めた人間の身体に入り、その人間として過ごしながら前世の記憶を思い出す、という再挑戦をすることに。
何に再挑戦なのかが微妙ですが、人生の再挑戦かな・・・。
思い出せればまた転生することが可能だし、思い出せなければこのまま消滅してしまいます。
そして僕に与えられたのは小林真ととう、自殺した少年の身体とその家族でした。
真の魂が身体から出るのと入れ替わりに僕が入り込み、一定期間を真として過ごします。
けれど自殺を図ったからには真少年には苦悩があったわけで、僕はそれを引き継がなくてはなりません。
真の自殺の原因、そしてそれらの側面から見えてきた別の真実。
僕は真として過ごしながら、だんだんと色んなことに気付いていきました。

私は僕や真と同じ体験をしたことがあるわけではありません。
けれど彼らの心情が、何故かすごくしっくりと理解出来るような気がしました。
だから違和感が全くなかったんですね。
森さんの描く心情にはかなり共感出来る部分が多かったです。
生前の僕の罪は、何となく途中で想像がついてしまいました(当たってました)
でも最後までドキドキと読めたし、気持ちの良い読後感が残りました。

私はここに登場してくる天使の“プラプラ”がお気に入りです。
僕の再挑戦をガイドする役目の天使です。
天上にいる時はですます調の丁寧な言葉で喋り、白い衣に白い羽のいかにもな天使。
でも地上に降りると言葉使いも乱暴になり、何だか普通のサラリーマンみたいなんですもん。
トレンチコートに白いフリフリの日傘を差しているトコとか(配給品で本人の趣味ではないらしい)、実は優しくて意地っ張りなトコとか、何か可愛いんですよね〜。

で、後書きを阿川佐和子さんが書いてらっしゃいました。
この作品は映画化されていて、阿川さんは真のお母さん役だったそうです。
真役を誰がやっていたか伏せているので気になって調べてみたら、田中聖君でした。
もちろんKAT-TUNのね。
ちょっと驚きましたが、映画も見てみたいなぁ。
かなり昔の映画みたいですが(^^;)
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2008/07/07 23:29 | その他(ま行) | Comment (0) Trackback (0) | Top▲
九州特急「ソニックにちりん」殺人事件/西村京太郎
2008年07月01日 (火) | 編集 |
433472874X九州特急「ソニックにちりん」殺人事件 (光文社文庫)
西村 京太郎
光文社 1999-09

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政界進出を噂される、元総理大臣秘書・佐久間要。
その佐久間が謎の写真を残して失踪した。
写真には博多−大分を結ぶ「ソニックにちりん」が写っており、謎を追って十津川警部は九州へ。
そこで佐久間の過去が明らかになり、やがて政界の黒幕の存在が浮上してくる。


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政界が舞台になってくると人間関係がややこしくなってきて、記憶力に自信のない私は苦労しちゃいます(^^;)

元総理大臣秘書で、総選挙に出馬予定の佐久間要。
選挙にスキャンダルはご法度ですが、佐久間には不倫で子供を作ったという過去がありました。
その過去を消してしまおうとするもの、利用しようとするもの、それぞれの思惑の元、静かに暮らしていた母娘に災難が降りかかります。
認知も援助も求めず、誰にも事実を喋ることなく暮らしてきた母娘にとっては政界の権力争いなんて全く関係ないのに・・・酷い話です。
政界が絡んでくると警察にも圧力がかかって十津川警部も思うように捜査が進められません。
つくずく政界って妙な世界なんだなーと思います。
というより、最近のニュースを見ていても、自分の保身しか考えないような人がいっぱいな気がしますけどね(--;)

それにしても今回の事件は何かしっくりこない結末でした。
結局はお金儲けの為に政界の人間を利用した奴らがいた・・・ってことだと思います。
ちょっと無理矢理繋げた感がありました(^^;)
残った印象は事件の過程より、政界って汚いな〜ってことぐらいかも。
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2008/07/01 22:44 | 西村京太郎 | Comment (0) Trackback (0) | Top▲